ハウルの動く城の原作の続編を読んでみた。

前回の記事から、ものすごく時間が経過してしまいました。
今更になりますが、アブダラと空飛ぶ絨毯―ハウルの動く城〈2〉をようやく読むことが出来たので、感想です。
以下、ネタバレを含みます。

最初、中々物語に入り込めず、読み進めにくい部分はありました。
『ハウルの動く城〈2〉』となっているので、ハウルたちが出て来るのを期待しているところがあり、でも中々出てこないというところは大きかったかもしれません。
今回は舞台が違う国なので、雰囲気も全く違い、頭を切り替えなければいけなかった部分もあったと思います。
でも、しばらく読み進めていると、段々話に引き込まれていき、気がつけば一気に読み終えていました。

前回は、どうしても映画のハウルの印象が強かったため、違和感を感じることも多かったんですけど、今回はもう慣れていたので、そういうことはありませんでした。
その分、キャラクターに感じる魅力というのは強まっていたと思います。
どのキャラクターも個性的で、俗っぽいというか、人間味がありますし、物語も童話的な雰囲気も持ちながら、妙に生々しさがあったりする、その絶妙なバランスが、ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの作品の魅力なのかなとも思います。

しかし、癖のあるキャラクターたちのなかで、やはりハウルとソフィー(+カルシファー)は一際個性的というか、目立っていますね。

ハウルの動く城の原作を読んでみた。

ネットを見ている時に見つけた言葉がきっかけで、急に興味が膨らみ、読んでみたのですが、面白かったです。

以下ネタバレ含みます。

ジブリの映画は、公開された時に映画館で観て、あとTVでの再放送を1回か2回観たかな……? 程度なので、かなりうろ覚えではあるのですが、良い感じだったんだけど、何だかよくわからなかったという印象でした。

それで、そういう印象のまま、多分一番最近のTV放映の時なのだと思うのですが、その時2ちゃんねるに立ったと思われるスレッドのまとめをまとめサイトで見て、そこに「主人公は最強クラスの魔法使い」というようなコメントがあって、え? と思って。
それで、これは面白そうだ! と興味を持って、eBOOKOFFで買ってみて、読んでみることにしました。

話の内容は、ジブリ版と結構違いますね。
それで、どこかで匂わせていたのかもしれないのですが、僕は映画を観ていた時に全く気づかなかったので、わかりやすく、ソフィーは魔法を使えるということが示されていると良かったかなと思いました。
あと、このお話の世界って、魔法使いになれる素質を持った人って沢山いて、そういう人は魔法使いに弟子入りしたりして、才能を伸ばして偉い魔法使いになったりするのですが、その世界観も、映画でわかりやすく表現されていれば良かったかなと思いました。
もしかしたら、そう表現されていたかもしれないのですが、僕のイメージだと、魔法使いっていう人たちは、ごく僅かしかいなくて、極端に言うと別の種族みたいな扱いなのかな……? という感じでした。
ソフィーの妹が、魔女のところに弟子入りしたあたりのことも、映画で描かれていたかな……?
僕が覚えていないところが多すぎかもしれませんが……。
でも、そこの辺りがはっきりわかっていると、ソフィーの姿が時々若くなったり年取ったりするのもわかったのかな……と。
あれはイメージ的なものなのかなと思っていたんですよね。

キャラクターとしては、ジブリ版の方が個人的には魅力的かなと思いました。
宮崎さんの持ち味もあると思うのですが、アニメ的にデフォルメされたというか、メリハリのある魅力があるかもしれません。
原作でのハウルの女たらしぶりが物凄く(でも、あれは荒地の魔女の呪いのせいなんだと思うけど)、ソフィーの切れっぷりが物凄く、荒地の魔女のやろうとしていたことはエグかった……。
最後はハッピーエンドで、良いと思うのですが、怒涛のごとく流れていた水が、急にコップにストン、と入ったような、あれ? 纏まったの? という唐突な感じは受けました。

原作のソフィーも、とても劣等感が強いのですが、ジブリ版の「私なんて、美しかったことなんて一度もないわ!」というセリフが、端的に彼女の内面を表していて凄いなと思います。
このセリフが映画を見た時に強く残っていて、原作にもあるのだろうかと思って読んでいたのですが、僕の見落としでなければ、ありませんでした。
あと、僕は木村さんのハウルは、いい感じだなと思って見てました。上手くハマってるなと。

色々書きましたが、原作のキャラクターも十分魅力的ですし、温かい気持ちになれる、素敵な物語だと思います。
面白くて、一気に読めました。


魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉

アブダラと空飛ぶ絨毯―ハウルの動く城〈2〉も買ってあるので、そっちもまた読んでみたいと思います。

【悲しみの時計少女】が復刊!

谷山浩子さんの『悲しみの時計少女』という本が、復刊ドットコムから復刊されることが決定したようです。


悲しみの時計少女

僕のこの作品との出会いは、ラジオドラマでした。
原作者の谷山さんも主人公の声を担当していて、俳優の渡辺いっけいさんも出演していました。
ラジオドラマって、耳から入ってくる音しかないので、想像力がすごくかき立てられるんですよね。
メルヘンチックで、でも、得体の知れない怖さを含んだ、独特の谷山ワールドが展開され、ワクワクドキドキしながら聞いていました。
その時には、もう原作は絶版になっていて、手に入らず、ずっと後、割と最近になってから、Amazonのマーケットプレイスで手に入れたのですが、当時を懐かしく思い出しながら読みました。
ラジオドラマとはまた違った魅力があって、面白いです。

この作品には、綾辻行人さんが、「奇想天外なファンタジー・ノベルであると同時に、この作品はまぎれもなく第一級のミステリーでもある」とコメントを寄せています。
同名の曲もあるのですが、こちらもすごいです。
悲しくて怖い。
曲調は物悲しいけれども、谷山さんの声と合わさって、全体的には可愛らしい印象なんです。
でも、何かつかみどころのない怖さがあると思います。
この独特な世界観はすごいな、と思います。

もし、絶版や品切れになった本で、また読みたい、欲しいというものがあるのであれば、復刊ドットコムでリクエストすることで、投票とその後の交渉次第では、復刊するかもしれません。